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2025/3/20

【祓川直也|観光庁長官】

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文化継承と未来創造に向け、各界の卓越した方々をお招きする特別企画「語らひ人」。

 

今回は、観光庁長官、秡川直也様をお迎えし、近衞忠大理事長との対談をお届けします。

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左:近衛  右:祓川 観光庁長官

対談の舞台は、霞が関の観光庁長官室。日本の観光政策の舵取りを担うこの部屋は、訪日外国人旅行者数の増加、地方創生への貢献など、日本の未来を見据えた熱い議論が交わされる場所です。

 

近衞理事長は、観光庁の「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり検討委員会」の委員を務めており、観光立国の実現に向け、地域の魅力向上と持続可能な観光のあり方について積極的に提言しています。

*地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり検討委員会:地域の豊かな自然や文化芸術等の強みを活かし、高付加価値な体験型観光への関心と消費意欲が高い旅行者の地方部への誘致を拡大し、地域の活性化や雇用・所得の増加、日本全体の観光消費額の効果的な拡大に取り組むために官公庁が主催する委員会で、令和3年から4回に渡り開催されている。

 

また、NPO法人七五は、2023年に観光庁の補助事業「インバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成支援事業」の事業者に採択されました。この事業で制作された動画は、Anthem AwardsでGoldを受賞。その成果が高く評価されています。

*インバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成支援事業:本格的な再開が見込まれるインバウンドの地方誘客や観光消費の拡大を促進するため、観光庁が、観光事業者が連携してインバウンド向けに地域に根差した観光資源を磨き上げる取組を支援する事業

*Anthem Awards:2021年に設立された、世界に変化をもたらしている企業や個人を表彰する賞。

 

今回の対談では、観光庁長官室という特別な空間で、文化と観光の連携、そして日本の未来を担う人材育成について、補助事業の成果も踏まえながら、お二人が熱く語り合いました。

目次

1.「Anthem Awards Gold」受賞のご報告

2.観光庁のビジョン

 

3.インバウンドから見た日本文化

4.Z世代が日本文化の担い手に

5.日本人とインバウンドの歩み寄り

6.日本文化に対するインバウンドの関心

「Anthem Awards Gold」受賞のご報告

NPO法人七五と株式会社curioswitchが企画制作したインバンド向けプログラム「Opening the Door to the YOMEI BUNKO - The Time Capsule of 1000 Year Old Treasure -」が、米国時間2024年11月19日に発表された「第4回 Anthem Awards」(主催:米国・国際デジタル芸術科学アカデミー)において、Education, Art & Culture 部門のゴールドを受賞いたしました。

*「Anthem Awards」:インターネット界のアカデミー賞と称される「Webby Awards」(主催:米国・国際デジタル芸術科学アカデミー、以下IADAS)の一部門「Inaugural Anthem Award」がスピンオフして2022年に誕生した新しいアワードで、IADASへ所属する各界の専門家、ビジョナリー、エバンジェリストなど約2千名が審査員を務めている。

*米国・国際デジタル芸術科学アカデミー(IADAS):ウェビー賞やアンセム賞を主催するIADASは、インターネットの創造的・技術的・専門的な進歩と、インタラクティブで新しいメディアの進化をサポートする目的で1998年にNYで設立された国際機関。

近衞:本日は貴重なお時間をありがとうございます。そしておかげさまでAnthem AwardsのGoldをついに獲得することができました。

 

秡川:ご受賞おめでとうございます! すごいですね。

 

近衞:ありがとうございます。舞台となっている京都・陽明文庫は、近衞家の先祖にあたる藤原道長直筆の『御堂関白記』をはじめ、近衞家に伝わる10万点以上に及ぶ文化財を収蔵しているんですよ。この陽明文庫に海外からゲストが訪れ、陽明文庫見学と近衞家ゆかりの伝統文化体験をプログラムとして実施しました。

 

秡川:素晴らしい取り組みですね。日本の伝統芸能や文化を維持し保存するために後継者が苦労している中で、外国人旅行者が日本の伝統芸能や文化についての理解を深め、その重要性についての認識を広めることに繋がりますね。

 

近衞:そうですね。多くの方がこのイベントシリーズは日本の伝統芸能や文化についてより深く学ぶためのユニークな体験であったと満足してくださっています。さらに、陽明文庫についての認知度を広めることへの関心も高まったそうです。

 

秡川:いやーそれにしてもこれ、本当に立派ですよね。(トロフィーを指差して)これは何を表しているんでしょうね。

 

近衞:うーん。それは僕も存じませんが(笑)。

 

秡川:すごいですよね。

 

近衞:そうなんですよ。このような立派なトロフィーを頂きましてありがたい限りです。

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秡川:これ重いんですか?

 

近衞:どうぞ持ってみてください。

 

秡川:重いですね。

 

近衞:意外とちゃんとしています。

​観光庁のビジョン

近衞:そうしましたら本題に入りまして、既に就任された時の年頭の所感というのを拝見しています。長期的なビジョンという意味で、今後の観光立国としてどういった方向に進むのか、もしくは進むべきなのかということを考えられたのですか?

 

秡川:私は観光庁の長官ですから、役所のポジションで仕事をしています。同じ役所の仕事でも、例えば国土交通省でいうと、道路を作るとか河川改修するとか、空港をつくる、ああいうのは公共事業と言いますね?

 

公共事業は国が計画を立てて、その通りに予算を入れて進めていくという、国が考えた通りに主導できる仕事ですが、我々がやらせていただいている観光というのは、その対極にあると思っていて。基本的に活動するのは民間の事業者の皆様や自治体ですよね。そして一番のプレーヤー日本の方も海外の方も含め、観光に来られるお客さんじゃないですか。

秡川:だから基本的に、国が引っ張っていくとか、それを押し付けるというような業務ではないと思っているんですよ。

 

ただ、今、インバウンドというのがすごくありがたい。そこで、これを伸ばしていく方針を立てて進めていくと、いろいろうまくいかない事もあります。民間の皆様に対応していただくにしても、国ではないと解決できない問題もある。それをやっていくということが観光庁のメインとなる仕事です。

*インバウンド:外国人の訪日旅行や訪日した外国人旅行客を指す。

 

国として本腰を入れて観光という仕事を主導し始めて、小泉純一郎さんの時から20年ぐらい経っています。20年経ってどういうことをしたらいいのか、それぞれのプレイヤーはどういう役割なのかっていうのが、現場の皆様も我々もようやくわかってきて、進むべき方向性が見えてきたんですよね。

*2003年1月に小泉純一郎首相が、観光立国を目指す施政方針演説を行い、観光を国家政策課題とした。この施政方針演説を受けて、国土交通大臣を本部長とする「ビジット・ジャパン・キャンペーン実施本部」が設置されるなど、国による観光の主導が本格化した。

 

ですから、インバウンドを伸ばしていくという方向を大切にしつつ、それぞれの役割分担をする、というのが私の考えです。

 

近衞:より大勢の方が海外から来られる。それに対してお客様ファーストの政策をする、ということですかね。

 

秡川:そうですね。例えば去年1年間だと3,700万人のインバウンドの方に来ていただきました。それで、国内の日本人の旅行者はちょっと減っているんですけども、全体の消費額というか、トータルの経済効果は伸びているというわけです。

フランスだとかイタリアやスペインなどの、観光の先進国というのがありますけれども、みんな陸続きじゃないですか。そういう国がお互いに何千万回も行き来するというのは、旅行者が多いのも当然だと思います。

 

日本のようにすごく離れてる場所で、しかも海に囲まれ飛行機などでしかいけないところで、それだけたくさんの皆さんが来てくださっている事実はすごいと思うし、日本人はもっと自信持っていいと思いますね。

*国内旅行者数は、コロナ禍前の半数ほどであるにも関わらずインバウンド旅行者数は、コロナ禍前を超えて増加している。(観光庁HP参照)

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